日本に生息する害獣の種類とその特徴
日本には、農業や生活環境に悪影響を及ぼすさまざまな害獣が生息しています。害獣は、家屋への侵入し、排泄物による悪臭、家族への健康被害などさまざまな問題を引き起こします。
害獣の被害を防ぐには、害獣の種類を突き止め、スピーディーに対策をとることが大切です。ここでは、日本の代表的な8種類の害獣について、その生息エリアや行動パターン、放置した場合の被害などを詳しく解説します。見分けづらい動物もこれで判別がつきますよ。
日本の害獣1:ネズミの特徴と被害

生息エリア
日本全国:都市部や住宅地
見た目と行動パターン
ネズミの体長は約15~25cmで、小型ながら非常に警戒心が強く、夜行性です。「キュッキュ、キイキイ」のような鳴き声が床下や壁の中から聞こえてくることがあります。建物内をすばやく移動し、電気配線や家具、家の固い柱までも、かじる習性があります。
エサ
雑食性で、野菜、果物、ゴミ、さらには昆虫やペットフードなど、何でも食べます。食べ物の入手しやすい場所では、まさにネズミ算式に急速に繁殖します。
フンの形
ネズミは種類によってフンの形が異なり、米粒状の大きさ、1cm弱の黒く細長い形状、1~2cmの小指の先ほどの丸い形状のものがあります。
対処しない場合のリスク
放置すると配線をかじることで火災の原因となるほか、サルモネラ菌やハンタウイルスなどの病原菌をもたらすリスクがあります。
日本の害獣2:ハクビシンの生態と影響

生息エリア
東日本中心:森林や地方の農村部だけでなく、都市部の家屋や天井裏にも侵入
見た目と行動パターン
ハクビシンの体長は50~70cmで、鼻筋の白い模様が特徴です。体重が2~4キロの大型の夜行性害獣で、夜中にドタドタと大きな音をたてることもあります。また屋根裏の断熱材を集めて巣を作ったり、ベランダや物置などの安全な場所にも住みつきます。
エサ
果物や野菜を好みますが、ゴミや昆虫も食べることがあり、雑食です。農業被害が多く、果樹園や家庭菜園を荒らすことがあります。
フンの形
ハクビシンのフンは10センチ前後で、茶から黒色で、細長い形状です。フンはあまり臭いを発しませんが、尿は強烈なアンモニア臭を放ちます。また、一か所に排泄物をためる「ためフン」の習性があるため、家中に悪臭が漂うこともあります。
対処しない場合のリスク
フンや尿を一か所に溜まる「ためフン」の習性があるため、ゴキブリやノミなどの害虫が繁殖し、そこからアレルギーや喘息を引き起こしたり、悪化させることもあります。
一か所に排泄物を溜めるため、屋根裏や天井にシミができ、腐食こともあります。もちろん漂ってくる悪臭の被害も困りものです。
帰省本能があるため、再発防止策を取らないと何度も侵入されるリスクには用心したいです。
日本の害獣3:イタチの生態と影響

生息エリア
全国:泳ぎも得意なため、海岸や河川に近い家が狙われるやすい
見た目と行動パターン
体長は20~40cmと細長く、素早い動きが特徴です。ハクビシンよりは軽いので、足音は「トントン」と言った軽めの音です。夜行性で、ネズミや昆虫を捕食しながら屋根裏などに侵入します。
エサ
ネズミ、昆虫、鳥の卵などの肉食がメインですが、果物や野菜も食べることがあります。
フンの形
フンは細長く、先端がねじれる特徴があります。肉食のため、排泄物は強い臭いを発し、床下や天井裏を簡単に汚します。
対処しない場合のリスク
一か所に排泄物を溜める「ためフン」の習性があるため、ものすごい刺激臭ばかりでなく、天井や屋根裏のシミや腐食につながります。
溜まったフン尿はノミなどの害虫や細菌の巣窟となるため、アレルギー症状を悪化させたり、発症させる恐れもあります。一度棲みついた場所に戻ってこようとする規制本能があるため、再発防止を含む適切な駆除をしたいところです。


日本の害獣4:アライグマの生態と影響

生息エリア
都市部・地方問わず:全国に広がるが、特に名古屋や大阪などの都市部で増加傾向
見た目と行動パターン
体長40~100センチで、しっぽにある6本前後の縞模様と目の周りの黒い模様が特徴です。器用な前足を使ってゴミ箱をあさり、家屋に侵入します。ハクビシンやイタチよりも体重が重く、「ドスドス」というような重量感のある足音が屋根裏から聞こえてきます。
エサ
雑食性で、果物、野菜、昆虫、ネズミ、魚など何でも食べます。ゴミ捨て場を荒らすなど、場所を選ばないため困りものです。
フンの形
小型犬やネコのフンと似たような大きさで、長さは5~20センチ前後あります。食べ物によって変わりますが、黒っぽく不規則な形状をしており、特有の臭いを放ちます。
対処しない場合のリスク
ふん尿を溜める習性があり、強い臭いを発します。天井や屋根裏のシミになるばかりでなく、繁殖したアライグマと排泄物の重みで、突然屋根が抜けるという最悪の事態になるケースもあります。
フン尿はノミなどの害虫や細菌の巣窟となるため、家族がアレルギーを発症するなど、健康被害も心配です。
一度棲みつくと戻ってくる習性があるため、侵入されそうな穴を徹底的に塞ぐなど、再発防止を含む適切な駆除が必要です。
日本の害獣5:アナグマの生態と影響

生息エリア
日本全国の森林地帯や農村部
見た目と行動パターン
体長40~50cm程度で、ずんぐりした体型と短い四肢が特徴です。白から灰色がかった毛と、顔にある白と黒の縞模様が目立ちます。夜行性で、地面に穴を掘り巣を作る習性があります。
エサ
雑食性で、ネズミやモグラなどの動物、昆虫や果実、植物の根などを食べます。農作物にも手を出し、特にジャガイモやトウモロコシなどを好む傾向があります。
フンの形
フンは茶色がかった黒色で、比較的大きく不規則な形をしています。巣の近くに排泄するため、発見しやすいです。
対処しない場合のリスク
農作物への被害が広がるだけでなく、穴掘り行動があるため、もしその穴の位置が家屋の基礎部分の場合、建物が倒壊するリスクがあります。
侵入防止のための柵や駆除が効果的です。
日本の害獣6:タヌキの生態と影響

生息エリア
森林地帯から都市部の住宅街まで、日本全国に生息
見た目と行動パターン
体長50~70cmで、丸みのある体型と黒い「顔の仮面」が特徴です。夜行性で、巣穴や隙間を好んで住処とします。
エサ
雑食性で、果物、昆虫、小動物、魚、さらにはゴミなど幅広いエサを食べます。特に農作物を荒らすことが多いです。
フンの形
タヌキのフンは黒く、固い棒状をしていることが多いです。また、特定の場所にまとめてフンをする「ためフン」の習性があります。
対処しない場合のリスク
都市部の住宅街では、生ごみを漁りまき散らす被害が広がっています。
また農作物被害が拡大するだけでなく、ふん尿による悪臭や寄生虫感染のリスクがあります。ふん尿を溜めることで縄張りを示そうとするため、ノミやダニなど害虫が増殖し、アレルギーなどの健康被害を引き起こします。
屋根裏から入り込んだタヌキが繁殖すると、騒音にも悩まされます。
日本の害獣7:ヌートリアの生態と影響

生息エリア
主に西日本の河川や湖沼周辺に生息:大阪や京都など都市部でも目撃されています。
見た目と行動パターン
体長40~60cmで、大きなオレンジ色の門歯が特徴です。泳ぎが得意で、夜行性ですが昼間に活動することもあります。
エサ
植物の茎や葉、農作物を主食とします。特に稲や野菜を食べるため、農業被害が深刻です。
フンの形
フンは緑がかった黒色で、大きめの楕円形をしています。水辺や農地の周辺に多く見られます。
対処しない場合のリスク
ヌートリアは農業被害のほか、河川堤防を掘り崩して洪水を引き起こすこともあため、防除策が必要です。
日本の害獣8:カラスの生態と影響

生息エリア
日本全国:ゴミ捨て場や建物の屋根など、どこにでも適応します。
見た目と行動パターン
全身が黒く、体長50cm程度です。非常に知能が高く、ゴミ袋を破るなどの問題行動を起こします。
エサ
雑食性で、ゴミや昆虫、果物、さらには小動物まで食べます。特に都市部では人間が出す生ごみが主なエサとなっています。
フンの形
フンは白っぽい液状で、広範囲に飛び散るため、車や建物に付着して悪臭を放つことがあります。
対処しない場合のリスク
放置するとゴミ荒らしや作物被害が増えるほか、酷い場合にはフンによる建物の劣化や衛生問題が深刻化します。ネットでゴミを覆うなどの対策が効果的です。
鳥獣被害を防ぐための具体的な対策
日本各地では、野生の動物による農作物や住宅への被害が年々増加しています。特にハクビシンやタヌキ、アライグマといった鳥獣は家庭菜園を荒らしたり、住宅に侵入することが多く、事前の対策が欠かせません。
具体的には、ネットなどの物理的対策、忌避剤やセンサー、害獣が身を隠しづらいようなお庭の手入れなどです。少し面倒に思うかも知れませんが、ちょっとした工夫で、ご自宅だけでなく、家族の健康も守れますよ。

鳥獣被害の予防対策1: ネットなど物理的対策
家庭で最も取り入れやすいのが、侵入を防ぐ物理的な対策です。具体的には以下のような方法があります。
- 窓や扉の補強
アライグマやタヌキなど、小型の動物は住宅の窓や扉の隙間から侵入することがあります。イタチなどは細身のため、500円大の小さな穴から簡単に侵入してきます。隙間を発見したら、金網やネットで塞いで、侵入経路を完全に閉じることが必要です。
※手の届かない高所などの作業は危険ですので、プロに相談する方がベターです。 - 金網やアニマルネットの設置
イノシシやシカなどの大型鳥獣への対策としては、メッシュ素材のフェンスを設置します。金網や漁網を活用すると耐久性が高くなり、効果的です。農林水産省が推奨する防護ネットは、価格がリーズナブルで取り扱いも簡単です。 - 電気柵の導入
ソーラー発電を利用した電気柵は、動物が近づくと軽い電気ショックを与える仕組みで高い防除効果があります。安全性が考慮されたモデルを選ぶことが重要です。
鳥獣被害の予防対策2:忌避剤やセンサー
鳥獣の習性を利用して、対策も家庭で簡単に導入できます。
- 忌避剤の使用
市販されている忌避剤は、イタチやハクビシンなど特定の動物を寄せ付けない成分が含まれています。ハッカや唐辛子など無害で家庭菜園にも使いやすい忌避剤もあります。ただし、犬や猫などのペットを飼っている場合は、少なからず影響を与えてしまうので、侵入経路を塞ぐなど物理的な対策を優先させてください。 - アニマルセンサーの設置
赤外線センサーを搭載した装置は、動物の動きを検知してライトや音で追い払う仕組みです。防犯対策としても併用でき、非常に便利です。 - トレイルカメラでの監視
庭や畑にトレイルカメラ(防犯カメラ)を設置して、どの種類の鳥獣が被害を引き起こしているか確認することもできます。防犯カメラの設置になるので、そこまでやるか迷いますが、物によっては5,000円前後で購入できますので、意外とハードルは低いです。動物を特定できますので、よりピンポイントの対策を講じることができます。

鳥獣被害の予防対策3:庭や畑の手入れ
鳥獣が侵入しやすい環境を改善することも大切です。
- 庭や畑の整理整頓
鳥獣が隠れ家にできる場所をなくすため、庭や畑の草を刈り、不要な資材を片付けます。これにより、特にアライグマやハクビシンなどの夜行性動物が近づきにくくなります。 - エサとなるものを取り除く
鳥獣が食べるゴミや果物、野菜を屋外に放置しないようにしましょう。ペットの食べ残しも狙われますので、都度下げてしまった方が良いです。ゴミはしっかりとフタ付きの容器に入れ、収穫後の農作物の残骸も放置しないようにすることで、被害を防ぎます。
もし害獣被害に遭ったらどうすれば良い?
害獣が棲みつくようになると、生活面でも衛生面でも大きなダメージを受けます。例えば、ネズミやハクビシンが家屋に侵入したり、イノシシやシカが庭や田畑を荒らしたりといったケースです。
しばらく様子を見ようと放置していると、繁殖期の場合には瞬く間に事態が悪化するため、早めの対処がオススメです。以下では、具体的な対策とその流れについてわかりやすく解説します。

1. まずは被害の状況を確認する
害獣被害を受けた場合、最初に行うべきは状況の確認です。とはいえいきなり屋根裏をのぞいて見るには相当な覚悟が必要ですし、衛星面から考えても無理はしない方が良いです。まずは以下のような外から分かるポイントをチェックしましょう。
- 痕跡を探す:天井裏のフンや尿、家具や電気配線がかじられている場合はネズミやアライグマの可能性があります。
- 鳴き声や臭いを確認:夜間に屋根裏で足音が聞こえたり、悪臭がする場合はハクビシンやイタチ、アライグマなどが住み着いている可能性が高いです。
- 農作物の食害を調査:田畑や庭の野菜や果樹が荒らされている場合は、シカやイノシシが原因の場合があります。
2. 被害を放置せず、速やかに対策を講じる
害獣被害は放置すると被害が拡大します。以下の理由から早期対応が必要です。
- 健康被害:害獣のフンや尿はダニや病原菌を含んでおり、アレルギーや感染症を引き起こす可能性があります。
- 建物の損壊:害獣が侵入した場合、屋根裏や床下が腐食したり、断熱材の交換が必要になるなど、修繕費用がかさむリスクがあります。
- 農作物への影響:食害が進行すると収穫が大幅に減少し、農家や家庭菜園に深刻な影響を与えます。
3. 自治体や専門業者に相談する
状況が把握できたら、自治体や専門業者に相談しましょう。動物を特定するのは専門業者の仕事なので、状況把握には時間をかけなくて大丈夫です。いつから、どのような騒音がする、など被害状況を伝えられるようにしておけば大丈夫です。
- 自治体の窓口
各市区町村の鳥獣対策窓口では、被害状況に応じた助言や捕獲許可の手続きについて教えてくれます。一部の自治体では、補助金や防除資材の提供が行われています。

- 専門業者の依頼
駆除や侵入防止を行う専門業者に依頼するのも効果的です。見積もりは無料で行ってくれる場合が多いので気軽に相談してみるのがオススメです。多くの動物には一度住みかにした場所に戻ってくる帰省本能があるので、侵入経路の封鎖や保証がついているなど、アフターフォローもしてくれる業者を選ぶと安心です。

まとめ
害獣の存在に気づいたら、放置せず早めに対処することが被害拡大を防ぐカギとなります。状況を確認した上で、防除用品を活用したり、必要に応じて自治体や専門業者に無料相談しましょう。
家庭でも取り組める対策を実践したり、害獣駆除業者に問い合わせてみることで、被害を最小限に食い止め、駆除にかかるコストも抑えることができますよ。
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